パブロ・ピカソから読み解く “面白さ”のタネ
今回は、
ピカソを題材として最近考えたことを少しご紹介できたらと思います。
が、まずは始めに、西洋美術史の変遷についてざっくり概要を追っていきたいと思います。
14世紀以降のルネサンス期から見ていきたいところですが量が膨大になってしまうので今回は近代である19世紀からご紹介させていただきます。
近代西洋美術史において
19世紀は、写実主義(=現実をありのままに描く)が当時のメインストリームでした。
農民や労働者の姿をありのまま描いたものが多く残されています。
現実を尊重し、主観による改変や装飾を排して客観的に観察し、その個性的特質をありのままに描き出すことに重きが置かれていました。かなり合理主義的な印象を受けます。
例えば、
↑こちらのミレの作品や
こちらのクルーベの『オルナンの埋葬』などがあります。
が、現実を表すだけではどことなく暗く寂しいものが出来上がってしまうため、「もう少し希望やロマンを持った絵画を描こうじゃないか」ということで、かの有名な印象派の画家たちが台頭していきました。
例えば、モネが描いた有名な
↑『日の出』や
『日傘をさす女』などが挙げられます。どれも光の面にフォーカスして日常を輝かしく描いている様子が見て取れます。
しかし、そんな中で、これら写実主義印象派を継承しつつもそれらとは異なる立場のポスト印象派の画家たちが台頭していきます。彼らは、写実主義では描ききれない人間の内面や感情を織り交ぜて絵画として表現していきました。
セザンヌの『台所のテーブル』や
ゴッホの『星月夜』など
名だたる巨匠がその時代の画家として当てはまります。
そして20世紀に入ると、今回のメインテーマである
ピカソというと
『泣く女』や『ゲルニカ』など、多くの代表作が挙げられますが
少し立ち止まってみると、今まで見てきた写実主義とは打って変わった、全く異なった様相を呈しています。
これらの絵画に特徴しているのが、"キュビズム"と呼ばれる主義です。
wikipediaによると
"それまでの具象絵画が一つの視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収め、ルネサンス以来の一点透視図法を否定した。"
と書かれており、
要するに、今までの、一点から見える景色をそのまま描き出していたものを否定し、多角的に対象物を観察しそれを一つの絵画に表現する技法が台頭した。ということです。
キュビズムという名前は、多角的な視点で同一物を捉えるという意味からも推測できる通り、キュービック(正六面体、立方体)から由来したのではないかと考えています。
ここでもう少しキュビズムに代表される絵画を見ていきたと思います
複数の絵画をご覧になってどうでしたか?
よくわからないが、面白い。なぜか飽きない。
なあという気がしませんか?(僕だけかもしれませんが。)
現在でも"画家といえば?"という問いに真っ先に浮かぶ人の一人としてピカソが確実に名を挙げていることや、実際にキュビズムが”現代美術の礎を築いた”と言われていることからも、その人気っぷりがわかると思います。
めちゃめちゃ普通のことですが、やっぱり
物事を色んな角度から捉えていることって、かなり面白いことなんだと思います。
その人にしか書けない、すごく独創的なもの。
もちろん写実主義的な、ありのままを描いた手法が飽きるということではありません。が、現在においては写真や動画が一般的に普及したことによって、その技法自体に対する希少性はかなり薄れてきているはずです。
同じものを多角的に見ると全く違うものに見えることはよくあることだと思います。そしてそれが何故か面白い。
絵画だけではなく、生き方そのもの、そしてビジネスなどあらゆるものに共通している普遍的な事実なのではないかなと思っています。
かつて、フランスの哲学者であるマルセル・プルーストがこのような言葉を残しています。
「本当の発見の旅とは、新しい土地を探すことではなく新しい目で見ることだ。」
と。僕自身もまさにそのように思います。(僕の大好きな言葉の一つです)
みなさんも、自分のことや周りのこと、ビジネスのことなどを考えるときに同じ事象に関して違った視点から見て見ることを心がけて見るとまた新しい面白い発見に出会えるかもしれませんね。
今回は以上になります。
読んでいただきありがとうございました!